私が知る限り、日本全国の五重塔・三重塔・十三重塔、計128基すべてを訪ねたのは私を含めて6人。
私は20代の後半から本格的に仏塔巡りを始めたが、当時は仏塔に関する情報は世にほとんど出回っていなかった。
どんなことでもいい、少しでも仏塔に関することを知りたいと思った私は日本全国の仏塔を訪ね歩いてその様子をまとめた本を自費出版していた著者の方に連絡をして自分の仏塔に対する想いを吐露した。
すると『君も知っての通り、仏塔を追い掛けている人はみな高齢者ばかりだ。私も老い先が短いが、家族は私のやってきたことに興味も関心もない。
私がやってきたことは私一代で終わるものだと思っていたが、是非君のような若い人に私がこれまでやってきたこと、収集した資料などを引き継ぎたい』と言われた。
その後、その方とは何度となく連絡を取り合っていたが、結局お逢いすることなく、いつしか音信不通となってしまった。
何であの時、すぐに逢いに行かなかったのだろうと今でもたまに「ふと」そんなことを考える。
まー、仏塔マニアとしての自分に自信がなかったからなんだろうな。当時は五重塔はすべて目にしていたけど、三重塔の方はまだ全然で知識に乏しかったからな。
もし、今、逢うことができたなら、当時とは違って少しはマシな話し相手になれるだろうに。
あの人は一体オレに何を引き継ぎ、何を託したかったんだろう。
若いと言われたオレも気が付けば40代。
思い返せば当時、滝も温泉も仏塔も駆け出しのオレに対してその世界の先駆者たちはいつだって優しく接してくれたっけな。
今のオレはどーなんだろう。
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