三沢大滝




三沢大滝

所在地→栃木県日光市上栗山

滝へのアクセス→車を停めてから4時間40分で到着。

滝との密着度→滝壷まで行ける。

滝を見た時の感激度→☆☆☆☆☆

初訪問時・2012年6月10日

三沢大滝。三沢という沢の上流にある滝だが、地図上に記載がなく、三沢大滝という名も仮称であり、正式には名前すらない無名滝である。滝に到るまでのルートは最初から最後まで道が存在していないため三沢の下流から沢を遡行、または両岸の森の中を歩いて行くしかない。

ルートは全般的に枯葉、倒木、流木、落石、浮石があって足場が悪い。崖崩れや土砂崩れ箇所も多数ある。渡渉の回数も30回は下らなかったはずだ。とにかく道がないので、進みやすそうなところを手探りで探しながら進むしかない。行きと帰りでも半分くらいは違うルートを通ったのではないか?まさに秘瀑中の秘瀑である。

結局、行きは4時間40分、帰りは6時間30分を要した。滝までの道は果てしなく絶望的に遠く、何度も心が折れそうになった。が、そうした苦労の果てにたどり着いた三沢大滝はそれまでの疲れを一気に吹き飛ばしてくれる落差7~80mの2つの滝が一つの滝壺に落ちるという奇跡的な絶景が広がっていた。こんな光景があるなんて信じられない。まるで夢の中にいるようだ。

落差は50m~60mと紹介されていることが多いが、実際には間違いなくそれ以上の落差がある。想像していた以上にとてつもなく大きい滝が目の前に2本もある。あり得ない。が、これは事実である。

滝は左右共に真っ直ぐに落ちる直瀑の要素と、岩盤に砕け散り幾重にも分岐しながら落ちる分岐瀑の要素を兼ね備えており、美しさと豪快さを併せ持っている滝で、仮に単独で存在していたとしても、名瀑と呼ぶに相応しい滝である。

また、滝壺はほとんどないといってもいいほど浅いため、きわめて容易に滝直下、本当の真下まで行くことができ、実に様々な角度からこの滝を観ることができる。

滝直下から見上げた2つの滝が落ちてくる姿は一度観たら目に焼き付いて絶対に忘れることはないだろうというような強烈な景観である。

この三沢大滝は滝好きとしていつかは訪ねてみたいと思って最終目標にしていた滝の一つであり、その期待を裏切ることなく、本当に本当に素晴らしい滝だった。

2度目・2016年6月11日

三沢大滝(2度目)。前回は大人数(6~8人?)で挑んだが、今回は2人でアタックした。前回は行きが4時間40分、帰りが6時間30分のコースタイムだった。今回は2度目(同行者は5度目)ということと、前回のイメージがしっかりと残っていたこともあって精神的には余裕を持って進むことができた。

今回は出来る限り沢を避けて進み、帰り道のために体力を温存する作戦だったが、コース取りがよかったのかサクサクと進むことができ、これなら前回のコースタイムを短縮することができるだろうと思っていた。2時間、3時間と経過しても疲れを感じることもなく、「三沢大滝ってこんなに楽だったっけ?このまま着いたら三沢大滝はただ長いだけのお手軽滝じゃんな」とか軽口を叩くほどの余裕があった。

そして入渓してから4時間が経過しもうそろそろだなと思い始めた。ところが一向に三沢大滝は姿を現さない。それどころか前回のコースタイムである4時間40分を過ぎても三沢大滝に到着する気配すらない。

さすがに焦り始めた頃についに体力が尽きてしまった。それでも気合いで進むが、体力が尽きた状態で気合いが…そんなに長続きするわけがない。

入渓から5時間が経過する頃になると今度は心が折れると同時に疑心暗鬼にかられた。途中までは前回の記憶がはっきりと残っていたが、今進んでいるところの記憶はない。

どこかで間違ってしまったのだろうか…。「もう少しです、あと少しです、頑張りましょう」と同行者から声が掛かるも『もうさっきからそれ何度も聞いてるよ』とボロボロな精神状態の中で進んだ。

そして入渓から5時間20分、前回のコースタイムよりも40分遅れてようやく三沢大滝に到着した。

三沢大滝を一目見た瞬間に2人で顔を見合わせて「はぁ~何これ?水量少な!」とお互いの感想が一致した。5度目の同行者も今回が一番水量が少ないとのことだった。岩肌が透けて見えるほどで「うわぁ~今回はガッカリな姿だな」と嘆きあった。

確かに最近関東では雨が降ってなく途中のダムや川の水もカラッからだったが、それでも三沢大滝の水量は問題がないだろうと道中話していたのだが…。

だが、水量が少ないからといっても悪いことばかりではなかった。前回は水飛沫がスゴくて滝直下は大雨が降っているような状態で写真はとても撮れるような状態ではなかったが、今回は滝直下に行ってもほとんど水飛沫が飛んでくることがなかったからだ。

前回はゆっくり堪能できなかった滝直下を充分に堪能することができた。遠望時には少ないと感じた水量も滝直下ではそこまで気にならない。

やはり70m~80m級の2つの滝が自分を目掛けて落ちてくる景観は最高の至福である。気が付けば滝壺に滞在してあっという間に2時間が経過していた。

帰りは日没との戦いになる。これ以上滞在するのは遭難の可能性も出てきてしまう。三沢大滝に滞在すること2時間15分。後ろ髪を引かれる思いで三沢大滝の滝直下をあとにした。

『行程』
5時5分発→10時25分滝壺着→12時40分滝壺発→17時40分着

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