桃洞の滝(桃洞滝)




桃洞の滝(桃洞滝)

所在地→秋田県北秋田市森吉

滝へのアクセス→車を停めてから1時間で到着。

滝との密着度→滝壺まで行ける。

滝を見た時の感激度→☆☆☆☆☆

その極めて独特で妖しげな姿といい、ただひたすら自然以外のものは本当に何もない山深い秘境に存在していることといい、ある意味では「日本一の秘瀑」といっても決して過言ではない滝。

この桃洞の滝を目指すには、森吉山北麓にある野生鳥獣センターまで車で行き、そこから歩いていくのだが、まずこの森吉山北麓というのが、山と森以外には本当に何もなく、ほとんど人の手が加えられていない場所であり、近年世界遺産に登録されすっかり様変わりした知床半島や白神山地とは違い、森吉山北麓こそが日本最後の秘境ではないだろうか?と本気で思えてくる場所である。

そもそもこの野生鳥獣センターへ行き着く道のりからしてまったく何もない。

道路以外の人工物を最後に見掛けてから、延々と30分以上は山の中を走ることになる。(最後に見掛けた集落からは軽く1時間以上も掛かる。)

景観がどうのこうのということもない。ただひたすらに深い山と森が続くだけの道のりである。

そうしてようやく到着した野生鳥獣センターから歩き始めること約一時間でようやく桃洞の滝に対面することができる。

桃洞の滝への道のりは概ね平坦な道なので、その気と時間さえあれば誰にでも行くことはできる。

後はとにかくただひたすら歩くだけなのだが、もちろん桃洞の滝への道のりもまったく何もない。

それまで本格的な山登りなどしたことがなかった私にとっては恥ずかしながら、これだけ美しく、また手付かずの自然というのはおそらく生まれて初めてのことだった。

道中、私の耳には鳥の鳴き声と清流の水の流れとへばって息を切らして「はーはー」いっているだらしない自分の呼吸音とそんな私の血を吸おうとするブンブンうるさい虫が飛ぶ音以外は何も聞こえなかった。

これだけの条件が揃うと桃洞の滝を一目見る前から、きっと素晴らしい滝に違いないとの期待が膨らんだ。

そしてようやく対面した桃洞の滝はちょっとイメージしていたよりも小さい気もしたが、それ以外はその期待に概ね違うことのないまさに聞きしに勝る秘瀑だった。

日本には『おしり岩、おっぱい岩、珍宝岩』など大自然が造り上げた芸術作品には枚挙に暇がないが、この桃洞の滝はそれらの中でも最高傑作と呼ぶに相応しい至高の存在であり、その容姿から別名『女滝』と呼ばれ安産、子宝、縁結の滝としても親しまれている滝である。

また、その奇抜な姿に目が点になって釘付けとなってしまい、ついつい一点を凝視をしてしまいそうになるところであるが、この滝の水の流れの美しさは特筆すべきものがある。

この滝は一度大きく横に広がった流れが再度一点に集約され、吸い込まれていく。その美しい水の流れはほかにはないもので、見れば見るほど幻想的で芸術的な形をしている美瀑である。

本当に美しい滝だが、とにかくそれ以上に妖しい。「ちゃんと真ん中には一本の深い筋も通っている!」妖しすぎる!その摩訶不思議な滝の姿に私は時間が過ぎるのも忘れてただ、いつまでも、いつまでも飽きることもなく見惚れてしまっていた。

いずれにしても、日本屈指の『秘瀑』にして『奇瀑』、そして『美瀑』であることには違いない。

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