間違った名前で「滝百選」に選ばれてしまった『八草の滝』とは?




間違った名前で「滝百選」に選ばれてしまった『八草の滝』とは?

「日本の滝百選」の中には「長年地元で親しまれてきた滝の名前」が「勝手に変えられたまま」で『滝百選に選出されてしまった滝』があるという噂を聞き付けましたので、早速レポートをしてみたいと思います。

「日本の滝百選」とは?

日本の滝百選は1990年に環境庁(現・環境省)と林野庁の後援の下、緑の文明学会、グリーンルネッサンス、緑の地球防衛基金の3つの団体が主催した「日本の滝選考会」により、日本国内から応募のあった517の滝の中から選定された日本を代表する滝。

日本の滝百選(百名瀑)一覧表(リスト)

 そんな「日本の滝百選」の1つに『八草の滝』という滝があります。

この八草の滝は一般的には川を挟んで遠く遠望しかできない滝で、また、常時水量に乏しく、わざわざせっかく訪ねても枯れ滝になっていることも少なくない滝です。

落差もわずかに22mしかないなど、滝好きが集まってなぜこの滝が百選に選ばれたんだ?という話をする時には必ず名前が挙がってしまう大変不名誉で残念な滝でもあります。

私も初訪問時には完全に枯れていた…。『~完全に枯れている八草の滝~』

それだけじゃない!何かが『おかしい』八草の滝!?

この八草の滝は『八草谷』にあるので、八草の滝と呼ばれているということは、滝マニアの中ではよく知られた一般常識的な話ですが、実際に地形図をよく見てみると八草の滝は八草谷とは違う谷にあるということにお気付きいただけることと思います。

なぜ「八草の滝」は「八草谷」とは違う谷にあるんだろう???

現地の看板などを見てみても谷と滝の位置関係が何か変です。

現地にある看板には「八草谷」には滝が書いてありません「隣の品瀬川谷」には「品瀬川滝」という滝があることになっています。上記の地形図の表記とも違っています。

これは何かがおかしい!と薄々感じた私でしたが、それ以上深く追求することもなく、その疑問に感じたことすらもいつしか遠い記憶になってしまいました。ところが、なぜか私はこの八草の滝のことが大好きで、密かに何度も繰り返し訪ねていたりするのですが、3度目に訪ねた時にたまたま犬の散歩をしていた地元のおじさんに「一体こんなところで何やってんの?」と声を掛けられました。

前述の通り、一般的にこの滝は川を挟んで遠く対岸から遠望する滝で、滝の近くまで行けることは滝好き以外にはほとんど知られていないため、八草の滝壺から帰ってきた私を見かけたおじさんが『一体何を?』といぶかるのも当然といえば当然のことです。

これに対して私は当然『八草の滝に行ってきました』と答えました。するとそれまで穏和だったおじさんの顔がとたんに曇った悲しい顔になりました。『あー、あの滝。あれは八草の滝じゃないよ。あの滝の本当の名前は品瀬川の滝で、本当の八草の滝は別のところにあるんだよ』と驚愕の事実が語り出されました。

その地元のおじさんから聞いた話をまとめると、現在八草の滝といわれている滝が存在している谷の名前は品瀬川谷といい、現在八草の滝と間違って呼ばれている滝の本当の名前は「品瀬川の滝」ということだそうです。なぜ、そんなことになってしまったかというと、もともと地元では品瀬川の滝と呼ばれて慣れ親しんできた滝のことを『役場が勝手に「八草の滝」と言い出してしまった』とのことです。

この現在「八草の滝」と呼ばれているこの滝の正式名称は「品瀬川滝」というらしい。

長年地元で親しまれてきた谷や滝の名前が間違えて世に喧伝され、過疎化が進んでいるこの地域では近い将来、そうした事実すら地域住民の記憶から忘れ去られてしまうのかと思うとやるせないものがあります。

しかしながら、私にはあのおじさんの悲しそうな顔を忘れることができません。滝には何の罪もありませんが、地元の方の想いを踏みにじる形で世に出され、挙げ句の果てには取り違えたまま日本の滝百選に選ばれてしまったあの滝のことをもはや私は『八草の滝』とは呼べません。

では…「本当の」『八草の滝』はどこにあるのか?

となると…。本当の八草の滝はどこにあるのかということが気になりますが、本当の八草の滝はその名の通り、八草谷にあるということです。つまり現在八草の滝と誤認されている品瀬川谷の隣にある沢(八草谷)の上流にちゃんと存在しているということなのです。

本当に八草谷の上流に「真の八草の滝」が存在しているのでしょうか?

結局のところ、本当に八草谷の上流に『真の八草の滝』が存在しているのでしょうか?八草谷を遡上して真実を確認してみました!

それから一年後、私は満を持して八草谷を遡上して本当の八草の滝に逢いに行くことにしました。

八草谷はもう誰も踏みいることがないのでしょう。普通ならどんな難航滝にも必ずある先人の踏みあとや目印などは皆無でした。川を渡ることも何十回と求められました。

しかしながら、不思議と道に迷うことは一度もなく、常に自分が進みやすそうだと思う行きやすいところ、行きやすいところを進めばそれが正解でした。この地域に長年生活を営んできた地元の先人たちと心が通じ合ったようでとてもうれしかったです。

八草谷の川の水は本当にキレイで澄んでいました。谷深く両岸を岸壁に囲まれ沢を遡上するしかない箇所もありました。何の情報もない沢を遡上するのは初体験でしたが、すべてが新鮮でこんなに楽しいものだとは思いませんでした。そして八草谷を遡上すること2時間。ついに本当の八草の滝に逢うことができ万感極まるものがありました。

それでは『真の八草の滝』の姿を「とくと」ご覧下さい!

「深く切り立った」「岸壁と岸壁に囲まれた」「息が詰まるような」「狭い狭い空間の奥」に確かに『真の八草の滝』が存在していました!

誰が何と言おうともこの滝が八草の滝です。

滝壺の水はとてもキレイに澄んでいました。

これ以上はどうやっても進めそうもありませんでした。

いかがでしたか?滝には何の罪もありませんが、長年地元で親しまれてきた谷や滝の名前が間違えて世に喧伝され、地元の方の想いを踏みにじる形で世に出され、挙げ句の果てには取り違えたまま日本の滝百選に選ばれてしまったあの滝のことをもはや私は『八草の滝』とは呼べません。

過疎化が進んでいるこの地域では近い将来、そうした事実すら地域住民の記憶から忘れ去られてしまうのかと思うとやるせないものがあります。

しかしながら、私には『あー、あの滝。あれは八草の滝じゃないよ。あの滝の本当の名前は品瀬川の滝で、本当の八草の滝は別のところにあるんだよ』と悲しそうな顔で教えてくれたあの地元のおじさんの顔を忘れることができません。

 

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