天の川を地上に写し取った!?『鍋倉渓(なべくら渓)』とは
鍋倉渓は地上に天の川を映したものと言われている独特な景観を目にすることができる神秘的な空間である。
現地を訪ねるとまさに夜空の天の川を写し取ったかのように、約650mにわたって真っ黒な岩々が、延々と積み重なってどこまでも続いているかのような景観に強い衝撃を受けること請け合いである。
但し、光輝く天の川とは違って、漆黒の岩が延々と続くその様子は、荒廃して退廃的な「言葉では何とも言い表せない重苦しい空間」であり、息が詰まりそうな雰囲気を醸し出している。
尚、この谷を流れくだる水は岩石の下を深く伏流し、岩の間からかすかにその水音のみを聞くことができるという。
これは、地質地形上、特別の条件のもとに生じたきわめて珍しい風化現象で、全国的にも学術上の価値が高く評価されているという。
鍋倉渓の成因については、伊賀の天狗と神野山の天狗がけんかをして投げあった岩だという伝説や、古代人が築いた巨石構造物である、火山の溶岩が流れ出して固ったものだなど色々な俗説がある。
しかしながら、実際の成因は前地質時代に山の表面が風化して、次第に細かく土壌化する際に、前記の角閃斑糲岩のとくに堅い部分が風化にたえて岩石のまま残り、当時の谷底に自然に移動して集まったもので、その後地形の変化に伴って現在のように浅い谷となり岩石が昔の谷にそのまま長い列をなして堆積したものと考えられているという。
尚、鍋倉渓の「なべくら」の名称の由来は堆積した岩のそれぞれが黒くすすけた色をしていて、鍋の底を連想されるところからこのように呼ばれるようになったと言い伝えられているとのことである。
所在地→奈良県山添村大塩
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