無人島(野崎島)にある古代祭祀遺跡?謎に包まれた『王位石』




五島列島の無人島(野崎島)にある古代祭祀遺跡?謎に包まれた『王位石(おえいし)』

王位石(おえいし)は現在は無人島となっている野崎島の沖ノ神嶋神社の社殿の真後ろにそびえ立つ、複数の石が積み上げられて構成されている巨大な奇岩である。

この王位石はいくつもの巨岩が実に見事に垂直に積み上げられ、高さ24mの2列の柱状となっているものの上に、さらに畳8畳ほどの平らな石が水平に置かれている。

その姿は鳥居のようにも、また、かのストーンヘンジのようにも見える。

その見上げるほどの巨大な姿は見るものを圧倒する有無を言わさぬ迫力があり、沖ノ神島神社という神社の名称よりも『王位石』という方が遥かに世に知れ渡っている。

とはいえ、沖ノ神嶋神社は五島列島の中でも、最も古い神社の一つで、慶雲元(704)年にもともと一つであった社を小値賀島(地ノ神嶋神社)と野崎島(沖ノ神嶋神社)に分けて祀ったと伝えられている。

沖ノ神嶋神社からは小値賀島の全景が見える。対岸には地ノ神嶋神社がある。

神社が分祀された時点で王位石が存在していたことは間違いないものと思われるので、まるで積み木を重ねたかのような一見すると実に不安定な姿に見えるものの、絶妙なバランスで積み上げられているようで、実に1300年以上崩れることもなく、この地に存在し続けていることになる。

明治初期に描かれた沖ノ神嶋神社と王位石

現在でも、王位石が大自然の造形物なのか、人工的に造られたものであるのかについては明らかになっていないとのことである。

王位石の上まで登ってきて裏側から眺めた様子

しかしながら、大自然の造形物であるならば、何千年、何万年前から王位石がこの地にあり、神社があとから建てられたものであるのだろうし、人工的に造られたものであるのならば、なぜ『こんな急傾斜地にわざわざ巨岩を運び上げて、さらにそれをどうやって積み上げたのだろうか?』と謎は尽きない。

まさに『卵が先か鶏が先か』ではないが、『神社が先(人工的)か?王位石が先(自然の造形物)か?』の議論であり、その結論により、神社の成立過程も違ってくるのではないかと思われる重要な問題である。

この王位石の姿は現在でも周辺海域からはっきりと確認できることから、古くから海上交通のシンボルと位置付けられていたものと考えられ、遣唐使が航路を五島列島沿いに変更した時期に分祀されたことから、遣唐使との密接な関連があると考えられているともいう。

ちなみに一番上にのっかっている平らな石の上に登るのは結構簡単?らしく、昔の人はスイスイと登って行ったらしいが、さすがに真似してみようとは思えなかった。

海から見た沖ノ神嶋神社と王位石

私的にはこの王位石は大自然の造形物であり、古来より五島列島の方たちの信仰の対象になっていたものであり、神社があとから建てられたものであるのではないかと思う。

なお、この王位石が大自然の造形物であるとしても、巨石が積み木のように積み上げられ、さらに上部に笠石のような岩がのせられているかのようなその姿は『にわかには信じがたい人智を遥かに超えたもの』であるとしか言いようがない。

かつて王位石は野崎島、小値賀島におさまらず五島列島の全域で信仰の対象になっていたようで『野崎参り』が熱心に行われていたとのことである。

但し、野崎島は前述の通り、無人島となっている島であり、過去においても人が住むには不便で困難が少なくなかったであろうことは想像に難くなく、そんな野崎島の人里離れた山奥に建てられた神社が五島列島全域で信仰の対象になっていたのは『王位石』が存在していることに起因しているであろうことは疑いの余地がないと思われ、やはりこの王位石は人工的に造られたものではなく、大自然の造形物で何千年、何万年前から存在していたものではないかと思う。

そんな現在では無人島となっている野崎島の王位石を参拝することは一筋縄ではいかないことは言うまでもない。

・野崎島に渡るにはまずは九州本土から小値賀島に渡る必要があり、そこ(小値賀島)から野崎島には1日に2便または3便の船が出ている。

・船が発着する野崎港から王位石まではさらに片道約2時間(往復約5時間)の道なりである。

・九州の本土から野崎島に直接行くことはできない。

・もちろん、海が荒れれば船は欠航となる。

そんな王位石に対面できた時の感動は筆舌に尽くし難い計り知れないものがある。

所在地→長崎県小値賀町野崎郷(野崎島)

 

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