切り立った岩壁に囲まれた閉鎖的でノスタルジックな『藪塚石切り場跡』
藪塚石は今から凡そ2000千万年前位に多くの火山活動によって堆積された軽石凝灰岩が地殻の変動で隆起し各地に露出し藪塚石となったものである。
この藪塚石は明治の中頃から小規模に採掘がされていたが、明治36年に藪塚石材株式会社が創立され盛んになり始めたという。
質はやわらかく細工がしやすく価格も安かったので建築物の土台や塀、また、熱にも極めて強かったのでカマドとして発売された。
大正2年に東武鉄道が布設されると、販路も関東諸府県から長野県に至るまで藪塚石の名は広まり、当時労務者は350人位であったという。
しかしながら、藪塚石の最大の欠点は水に弱く、中に小石があること、層に割れ目が多いことなどで、同質の大谷石に比べ多くの人件費がかかり、質に於てだんだん嫌われていってしまったとのことである。
そして各所にこの様な大きい採掘跡を残して昭和30年頃閉山のやむなきに至ったということである。
現在では滅多に人が訪ねてくることもないのか、打ち捨てられ、野に埋もれた古代遺跡のような趣がある。
実際にこの石切場の右手奥の方は草木に覆われて野に埋もれているような感じとなっている。
この辺りなどはジャングルの奥地に眠っている古代遺跡のように見える。
切り立った岩壁に囲まれた閉鎖的な空間で声を出すと山びこのように反響するのだが、それがまた何ともいえない哀愁を漂わせている。
さらに枯葉が敷き詰められたようになっているのもノスタルジックで味わい深いものがある。
なお、石切場の左手奥の洞窟上に掘られた穴を抜けると石切場の上に出ることができる。
ここをくぐり抜けて行く。
石切場を上から見下ろした景観。ちょっと足がすくむ感じ。
所在地→群馬県太田市藪塚町
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