美しい緑の絨毯が敷き詰められたような「チャツボミゴケ公園」




色鮮やかな美しい緑の絨毯が敷き詰められたような「チャツボミゴケ公園の穴地獄」

チャツボミゴケ公園は、群馬県中之条町の最奥部である入山地区の西端に位置する「国内最大」、「東アジア最大級」のチャツボミゴケが群生している公園である。

チャツボミゴケ公園のマップ

チャツボミゴケとは強酸性火山性水域(PH2.0~4.6) に生育するウロコゴケ目ツボミゴケ科の苔類で学名は「ユンゲルマンニア·ブルカニコーラ」である。

世界中の蘚苔類約18,000種の中で最も耐酸性があり、強酸性の温泉水が流れる場所に育つ珍しい苔で、酸性水域を好む特別な苔である。

チャツボミゴケ公園には、草津白根山の火山活動による強い酸性の鉱泉(ミネラルなどを多く含む水)が流れているため、チャツボミゴケが大群落となっている。

チャツボミゴケ公園の中でも「穴地獄」と呼ばれる場所の色鮮やかな緑の絨毯が敷き詰められたかのようなチャツボミゴケの群生は圧巻である。

なお、穴地獄という場所は元々は白根火山の爆発で出来たすり鉢状の大きな穴のあいた地形となっていて、硫酸酸性泉の20℃程の鉱泉が湧出し、動物が落ちると出られなくなって死んでしまうことからこの名がついたと言われているとのことである。

また、鉄の成分によって、溜まっている水が赤く見えたことから「血の池地獄」とも呼ばれていたそうである。

このように穴地獄周辺は類例のない景観を醸成していて、チャツボミゴケが東アジア最大級の群生を形成していること、その環境や生態系が評価されたことなどから、周辺の自然遺産とともに平成27(2015)年5月に「芳ヶ平湿地群」としてラムサール条約に登録された。

また、平成29(2017)年2月には「六合チャツボミゴケ生物群集の鉄鉱生成地」が国の天然記念に指定された。

指定の概要:この土地は、鉄鉱石を採掘していた群馬鉄山跡で、チャツボミゴケと鉄バクテリアの生物活動の副産物として、鉄鉱石が生成される現象が今なお続いており「鉄鉱生成の歴史とその仕組みを観察できる貴重な場所」として評価されました。また、チャツボミゴケは強酸性の鉱泉が流れる環境で生息する珍しい植物で、六合地区の群生地は、東アジア最大級の規模といわれています。

~中之条町のパンプレットより抜粋~

上記ように現在チャツボミゴケ公園として整備されている場所は、かつては群馬鉄山と呼ばれ、鉄の原料となる鉄鉱石の国内第2位の生産量を誇る露天掘り鉱山として栄えていた場所である。

チャツボミゴケそのものは、国内のほかの場所や海外でも見られるところはあるが、このチャツボミゴケ公園がとても貴重とされるわけは、この場所で今でも鉄(鉄鉱)がつくり出されているからであり、チャツボミゴケと微生物のはたらきによって、酸性の強い鉱泉に含まれている鉄分から鉄鉱がつくり出されているのだという。

こうした生物が鉱物をつくり出すはたらきは「バイオミネラリゼーション」と呼ばれるものであり、動物の骨や歯、貝がらや真珠がつくり出されるのもバイオミネラリゼーションの一つであるとのことである。

チャツボミゴケ公園内には3つの滝がある

その1:温泉大滝

その2:湯滝

湯滝の下流にもチャツボミゴケが群生している。

その3:白絹の滝

所在地→群馬県中之条町入山

 

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