三方湖の湖畔に浮かぶ!まるで合掌造り!の『茅葺きの舟小屋』
まるで合掌造りのような屋根をした舟小屋は三方五湖のひとつである三方湖の湖畔に残されているもので、明治時代からこの地に存在しているものである。
なお、この舟小屋に格納されているのは漁のための舟ではなく、農作業用の舟であるという。
どういうことかというと、舟小屋の残る三方湖西岸の北庄と伊良積の集落では水田や耕地が少なかったため、湖の対岸にある三方湖と水月湖を隔てている半島状の長尾島や水月湖畔などに水田や梅畑を持っていたが、以前は三方湖西岸と長尾島が舟でしか往来できなかったため、その往来に舟を使用していたということである。
三方湖の湖畔に残されている茅葺きの舟小屋はこうした農作業に用いる小舟を格納するためのもので、かつてはここから舟を出して湖を渡り長尾島の梅畑や水田に行ったり、収穫した梅を運んだりするために使われていたという。
しかしながら、湖の護岸整備が行われ1990年代に道路が整備されると、長尾島への車での行き来が可能となり、以後はほとんど使われなくなったという。
現在では手入れも行われていないのか、茅葺き屋根は積雪や台風などで劣化が目立つようになってきてしまっているが、まるで湖の中に舟小屋が浮かんでいるかのような景観は他にはない独特で非常に珍しい景観である。
一番端の舟小屋は屋根の茅が失われて朽ち果てているような感じとなっている。
この昔ながらの舟小屋が水辺に並ぶ素朴で風情のある景観は、紛れもなく日本の景観でありながら、どこか南方系の東南アジアの異国の景観を彷彿とさせるものがある。
舟屋といえば丹後半島の伊根の舟屋が有名であるが、こちらの茅葺きの舟小屋もどこか異国情緒が漂う不思議な景観であるので、是非いついつまでも大切に守ってほしいものである。
所在地→福井県若狭町海山
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