あの社台の滝を遥かに凌ぐ?石狩白老滝(石狩白老の滝)




あの社台の滝を遥かに凌ぐ?石狩白老滝(石狩白老の滝)

北海道にはヒグマの巣窟地帯を約5時間掛けて沢登りをしてようやくたどり着くことができる、日本を代表する秘瀑中の秘瀑にして、悪魔の顔とも称される日本屈指の奇瀑としても有名な『社台の滝』という滝がある。

しかしながら、社台の滝がある同じ白老町内に

「あの社台の滝を遥かに凌ぐ凄い滝!」

「200mはあろうかという断崖絶壁から落ちてくるものスゴい滝」

があるという情報が近年ネットで出回っていた。

そして今回アタックしたのが、その噂の「石狩白老滝」だった。行程としてはヒグマの巣窟地帯の林道歩きを約4キロ、沢登りを約2キロ、合計約6キロの道のりである。

このうち約4キロの林道歩きはヒグマと遭遇するかも知れないという恐怖心を除けば楽チンで何の苦労もない。

また入渓してから約2キロの沢登りも最初はせいぜい踝ぐらいまでの浅い沢で何ということはない。

途中からいわゆる巨岩地帯と言われるところが出てきて確かにそれらを登って行くのは少々厄介だったが、あの社台の滝の数メートル進むのですら困難を極めるといった地獄のような巨岩地帯に比べれば屁みたいなものだった。

全行程もあの社台の滝を経験済みの人間からしたら、ぶっちゃけ余裕で楽勝だった。

そして、何だかんだと出発から3時間45分にしてようやく石狩白老滝の前へ。

ん?何かが違う?確かネットでは200mはあろうかという断崖絶壁から滝が落ちていると紹介されていたが、見たところそんなに高いところから水は流れていない。

そしてその断崖絶壁だって200mもあるとは思えない。せいぜい120mくらいなのではないか?と思った。

まー、でもそれは今自分がいる位置が悪いだけで、その下段部分の滝を高巻けば、今は見えていない断崖絶壁に上段部分の滝の流れがあるに違いないと信じて疑うこともなく、最後の気合いと根性をふりしぼって下段部分の滝を約30分掛けて高巻いた。

尚、写真では大したことないように思われるかも知れないが、実はこの写真で見るよりも遥かにキツい急斜面で、この高巻きは私の滝人生の中でも5本の指に入るくらいのツラいツラい高巻きだった。

ところが、結局どこにも水は一滴たりとも流れていなかったのである…。

はぁ~???

事前に何度も読み込んでいた地形図では石狩白老滝の上流部分にも沢が続いていた。

それなのに、まさか沢の水が涸れて、いわゆる枯れ滝になることがあるなんて夢にも思ってなかった…。

完全に想定の範囲外だった。

おいおいおいおい、一体何が!一体どこが!

「あの社台の滝を遥かに凌ぐ凄い滝!」で

「200mはあろうかという断崖絶壁から落ちてくるものスゴい滝」

なんだ!このバカヤロー!

あの日本を代表する秘瀑中の秘瀑にして、悪魔の顔とも称される日本屈指の奇瀑としても有名な『社台の滝』とは比べるべくもない『クソ滝』じゃねーか!

もうオレ精根尽き果てた…。

結局のところ、この石狩白老滝は通常は下段部分のみの滝で、上流部分は雪解けの時期や大雨が降った翌日など、本当に限られた時にしか出現しない幻の滝なのだろう。

ちなみに当初のイメージはこんな感じだった。。。

だが、一滴も流れていない上流部分の滝壺はエメラルドグリーンの実に実に美しい滝壺だった。

こんなに時間を掛けて、命の危険も顧みずにヒグマの巣窟地帯を沢登りしてきたのだから、滝マニアとして、そしてライターとして全力を尽くしてレポを書こう…。

そうやって気持ちを切り替え、そして奮い立たせることとした。

改めて見てみれば、前述の通り、上段部分の滝壺はエメラルドグリーンで本当に美しい。

そして、滝の下段部分は沢の水が滝になっているのではないことに気が付いた。

何とこの石狩白老滝は岩盤から染み出た湧き水が滝となる潜流瀑だったのだ。

それも生半可な規模ではなかったのだ。おそらく落差は40m~50mくらいで幅は20m~25mくらいか?これだけの落差、水量、幅に恵まれた潜流瀑は日本広しといえども、おそらく数えるほどしかない。

ネットでの「あの社台の滝を遥かに凌ぐ凄い滝」という前評判を抜きにして考えればこれはこれでスゴい滝である。

その後、もう一度下段部分の滝壺へ戻った。

そこには今回、石狩白老滝を共にアタックした滝仲間がオレのことを待っていた。

そして開口一番、オレたちの夏が終わっちゃいましたね…。とオレに話し掛けてきた。以下、その時に交わした言葉を忠実に再現してみた。

(滝仲間)オレたちの夏が終わっちゃいましたね。
(オレ)終わっちゃったな。

(滝仲間)完全に期待外れでしたね。
(オレ)本当にそうだな。

(滝仲間)5点満点だとしたらいいとこ3点ですよ。
(オレ)オレはギリで4点かな。

(滝仲間)オレはこの滝が自分の中でベスト10に入る可能性もあると思ってたんですけどね。
(オレ)オレらの滝マニアとしてのキャリアを考えたら、そんな簡単にそれほどの滝が出てくるわけないだろ!

(滝仲間)オレはこの夏はこの石狩白老にすべてを掛けてたんですけどね。
(オレ)オレも…。この石狩白老の滝にすべてを掛けていたんだけどさ。これでもう北海道の滝はやり尽くしたな。
(滝仲間)はい…。

だが、オレはその後も最後まで全力を尽くすべく、下段部分の滝の観察をした。

主瀑以外にも滝の流れというか湧き水があった。

そして『なるほど!』ここから写真を撮ればこの石狩白老滝が確かに「ものスゴくいい滝に見える!」というアングルも発見した。

が、それらはすべてがむなしく、すべてが悲しい「敗戦処理」みたいなものだった。

滝へのアクセス→車を停めてから3時間45分で到着。(上段滝壺へはさらに30分)

滝を見た時の感激度→☆☆☆☆

所在地→北海道白老町字森野

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四季折々の滝を巡る旅  

~おまけ~

 

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