​百四丈滝への想い




百四丈滝への想い


私は滝マニアとしていつかは訪ねたいと思って最終目標にしていた滝が3つあった。1つは三沢大滝。1つは岩屋谷雄滝。そして最後の1つが百四丈滝だった。

三沢大滝は往復11時間20分で行って帰ってくることができた。岩屋谷雄滝は往復15時間で行って帰ってくることができた。もちろん三沢大滝も岩屋谷雄滝も噂に違わぬ日本最高級の名瀑だった。

問題は最後の1つの百四丈滝である。自分の実力ではおそらく二泊三日か三泊四日程度掛かる。が、曲がりなりにも滝マニアとして日本の滝百選に選ばれているすべての滝との対面を果たし、三沢大滝そして岩屋谷雄滝との対面も果たした私は、最後の1つの滝である『百四丈滝』に何としてでも対面したいと思うのは必然であろう。

かのテレビチャンピオン滝通選手権の覇者である森本さんも『百四丈滝…それは私にとってのあこがれの滝だった。この滝を知ってから十数年、いつか逢いに行きたいと思っていたし、私の滝行きの最終目標ですらあった』と語っている。やはり、私もここまできたからには何としてでも百四丈滝に逢いたい!と日々想いは積もるばかりであった。

話はそれるが、ロールプレイングにはラスボスがいる。ラスボスというくらいだから、けた違いに強い『強敵』である。とは言っても、実際のところ、ロールプレイングではラスボスと対戦する時には既に十分な実力が備わっていて手応えを感じることなくあっさりと倒せてしまうことが多々あったりする。

しかしながら、滝業界のラスボスである百四丈滝は名実共に滝業界の「ラスボス」にふさわしい滝で、真の意味でも『ラスボス』である。

遊歩道系のヘタレ滝ヤで滝業界最弱を自認していた私だがここまできたからには何としてでも百四丈滝の姿を目にしたい。

思い返せば日本の滝百選に選ばれているすべての滝との対面を果たし、三沢大滝、岩屋谷雄滝との対面も果たし、気が付けばいつしか日本全国47都道府県の滝との対面も果たした。訪問した滝の本数も1000本を越えた。ヘタレの私なりに一歩一歩着実に滝マニアとしての階段を登ってきた。

残すは百四丈滝のみである。森本さん同様、私にとっても百四丈滝は『最後の』、『そして最終目標』の滝であったのである。

尚、この百四丈滝に至るルートは2つある。1つは沢ルート、1つは山ルートである。沢ルートは黒滝という落差20mの前衛滝を高巻く必要があり、私の技量では無理であることは火を見るより明らか。

となると残るは山ルートである。再度森本さんの言葉を借りれば「この山ルートは『危険はほとんど無いが時間がかかる』という事になる」とのことである。

この話を森本さんから聞いた私は、その後、森本さんと顔を合わす度、電話で話す度に『百四丈滝に連れていってほしい』とお願いをした。

そしてお願いをし始めてもう5年以上は経っただろうか。ついに2016年9月のシルバーウィークに憧れの百四丈滝に連れてってもらえることになったのである。

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