「 今、棚田に思うこと 」
棚田百選が選ばれてから13年が経過した。
私が棚田に興味を持って棚田巡りを始めたのは、今から10年余り前からのことである。
つまり棚田百選が選ばれてから2年余り経った時のことだったということになる。
今、百選に選ばれた棚田を訪ねると、耕作が放棄され荒れ果ててしまった田んぼを目にすることが少なくない。
そもそも作業効率が悪い上にいわゆる過疎化の波が激しい山間部に存在していることが多い棚田は深刻な後継者不足に悩まされているところが少なくないとも聞く。
これに反して山には昔と違って食べ物が少なくなってしまったため、鹿や猪などが食料を求めて里に降りてくることが本当に多くなったようだ。
こうした鹿や猪などによる被害は甚大で、現在では防護ネットなどでこうした鹿や猪に対する対策を講じている光景を半ば当然のごとく目にするようにもなった。
また、近年のゲリラ豪雨などの異常気象がもたらす災害による棚田への被害も少なからずあるようだ。
そもそも棚田百選が選定されたのもこうした棚田が次々と耕作放棄され、失われていくことに対する歯止めとなるべくというのも理由の一つだったとも聞く。
しかし、残念ながら『今まさに』その危惧が現実のものとなろうとしているのではないかと感じる。
私には「日本の原風景と愛されてきたのどかな棚田のある風景をこれからも守っていかねば!」というような偉そうなことを無責任には言えないが、目まぐるしく変わりゆく世の中の荒波の中で、昔ながらの姿を留めるのはやはり難しいことなのだろうか?
今となっては棚田百選が選定された当時の姿を留めていない棚田もあるが、それらも含めて一つでも多くの棚田を目にしたいと思う今日この頃である。
~2012年8月30日に書き記す~
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