安の滝(日本の滝百選)
所在地→秋田県北秋田市打当国有林地内
滝へのアクセス→駐車場から約50分で観瀑台に到着。観瀑台から滝壺までは更に約15分。
滝との密着度→滝壷まで行ける。
滝を見た時の感激度→☆☆☆☆☆
安の滝。日本の滝百選の一つで『日本一』との呼び声が高い滝である。(実際に私も日本一の滝はこの安の滝だと思っている。)
この滝は日本の滝百選の中でも屈指の、その昔はマタギが狩猟を中心とした生活をしていた山深い秘境にあり、駐車場へと到る道も最後の5キロくらいがすれ違うのも困難な砂利道である。
尚、この滝は上段と下段の2段になって落ちている滝で、通常は展望台から遠望するのみである。
しかしながら展望台からでは上下段の滝を一望できるものの、遠望であること、上段部分は一部しか観えないことなどもあり、何とも消化不良で実際にそこまでスゴい滝だとは思えない。
但し、実はここが「ミソ」で、この安の滝には全景が観れる展望台から左に踏み跡があり、道は荒れているものの、そのまま進むと上段の滝壺まで行くことができるのである。
つまり展望台からの遠望では安の滝の本当の魅力は何もわからず、展望台の先にこそ、日本一の滝と手放しで絶賛されている「真の姿」があるのである。
(展望台からの遠望とその先で観ることができる景観はまったくの別物で次元が違うとしかいいようがない。)
この滝は日本中の素晴らしいといわれているすべての滝を掛け合わせたような完全無欠の滝で、力強さとやさしさ、豪快さと繊細さ、静と動など本来なら相反する要素が何の矛盾もなく体現されている滝である。
余談になるが、私たち滝が好きなもの達はみな滝は見に行くものではなく、逢いに行くという表現を必ず使う。
それは滝に動きがあるからなのだが、この安の滝は動いているどころか、滝自体が意思を持ってまさに生きているという感じを受ける滝である。
~初めて安の滝を訪ねた時の感想を当時のメモより抜粋~
歩き始めること1時間余りにしてようやく安の滝の展望台に到着しました。ベンチに腰を下ろしてゆっくり安の滝を見ていた私の目に写った安の滝の印象は何かこう巧く表現することはできませんが「とても優しい滝で、これまでの疲れを一気に癒してくれる、そんな滝だ」と思うと同時に、正直これが日本一の滝とは思えないんだけど…といった複雑な感情を抱きました。
しかし「安の滝は全景が見れる展望台から左に踏み跡があり、そのまま進むと滝壺まで行けます。道は荒れていますけれど行かないと後悔しますよ」と滝通選手権に一緒に出た人から事前に教えてもらっていた私は、更に滝壺の近くにまで歩を進め、その後、この世のものとは思えない素晴らしい絶景を目にすることになりました。
人は自分の知識や経験などを遥かに超越する圧倒的な絶景を目にすると、どうやら思考が止まってしまうようです。いわゆる魅入ってしまうというやつです。私はまるで夢の中にいるようでした。今、まさに自分のその目で見ている景色にも関わらず、現実の世界のものとは信じられず、何度も何度もこれは夢なんじゃないか?俺は夢を見ているんじゃないかという不思議な感覚に陥りました。
そしてこう思いました。『安の滝』を語るには言葉はいらない。ただ、その姿を一目だけでも見ればいい。本当にただそれだけだ。疑り深い人も、滝にはまったく興味がない人もその姿を一目見たならばまさに『安の滝』こそ日本一の滝だと納得するだろうと。
実は私も写真で見る限り、安の滝は全然大したことがないと感じていたので、なぜこんな滝が日本一の名をほしいままにしているんだろうとずっと疑問に思ってましたが、安の滝の本当の姿を目にした時には「ただ、ただ」自分の不明を恥じるよりほかはありませんでした。
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