世中を はかなき夢と ききながら
いつまでさめぬ 心なるらむ
出典 : 新続古今和歌集
作者 : 邦省親王
解説 :
鎌倉時代後期以降、皇統は持明院統と大覚寺統に分裂した。その後、鎌倉幕府の仲介により、以後は持明院統と大覚寺統から交互に皇位を継ぐ両統迭立とすることで両統は和解をした。
邦省親王は大覚寺統の嫡流である後二条流の親王だが、同じ大覚寺統で本来は庶流である一代の主(一代限りの天皇)後醍醐天皇が自身の子孫に皇位を継がせたいという野望から鎌倉幕府の倒幕を企て、建武の中興を成し遂げた。
しかし、足利尊氏が反旗を翻したことにより、建武の中興はすぐに頓挫し、さらに尊氏が持明院統を推戴したことにより、南北朝時代が到来することになった。
このような中、大覚寺統の本来の嫡流である邦省親王は皇位回復を目指し、立坊(皇太子を定めて、公式にその地位につけること。)を悲願として生涯を送った。この歌は邦省親王の生涯を象徴したような歌であるが、最後にはそれがはかない夢であると悟ったようで、邦省親王の無念の想いが伝わってくる哀愁歌である。
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