日本の分岐瀑の頂点に君臨している「岩屋谷滝(雄滝)」
所在地→奈良県上北山村白川
滝へのアクセス→車を停めてから約7時間50分で到着。
滝との密着度→滝壷まで行ける。
滝を見た時の感激度→☆☆☆☆☆
写真ではそのスゴさがまったく伝わらないと思いますが、落差130mで滝壺での幅は20m以上あります。
日本の分岐瀑の頂点に君臨している孤高の滝です。
分岐瀑は美しく、優しく、癒し系のイメージの滝が多いのですが、この岩屋谷の雄滝は威風堂々としていて、圧倒的な存在感と絶対的な王者の風格と尊厳を漂わせています。
間違いなく日本を代表する滝の一つです。
滝はいつくもの分岐を繰り返し、末広がりに広がりながら滝壺へと落ちています。しかも左右対照です。まさかこれほどまでに完璧で非の打ち所がない分岐瀑がこの世にあったとは・・・。
また、滝前は開けた空間になっているので実に色々な角度からこの日本最高級の滝を見ることができます。
しかしながら、この滝に対面を許されるのはおそらく年に数人といないと思います。道中(特に最後の降下)は想像を絶するほどの厳しい道のりです。
その行程の厳しさは日本の滝百選の最難関と言われている双門の滝よりもはるかに上回っています。
私はたどり着くまでに2度諦めかけ(実際に雌滝へのチャレンジは断念しました)自分の未熟さに絶望・失望して滝巡りからの引退も一度は決意しました。
もしもこの滝に挑戦をしようとするのならば、しっかりとした準備・装備はもちろんのこと、それに加え、経験者・熟練者との同行が望ましいです。
道中は最高に厳しいのですが、この岩屋谷滝は滝好きとしていつかは訪ねてみたいと思って最終目標にしていた滝の一つで、その期待を裏切ることなく、本当に本当に素晴らしい滝でした。
~後日譚~
翌日、同じ上北山村にある「かくれ滝と千尋滝」を訪問しました。
どちらも日本を代表する名瀑と言っても差し支えのない滝ですが、正直に言って「ショボい、小さい」と思いました。もちろん「かくれ滝や千尋滝」が「ショボい、小さい」わけではなく、それだけ岩屋谷滝のスケールが図抜けて大きかったと言うことだと思います。
~行程~
行き→4時30分出発→6時5分登り終える
(小峠山926m地点)→9時12分西峰→
10時48分下降地点→11時23分下降開始→
12時00分崩落現場。絶望して引退を決意→
13時30分→意を決して進む→13時48分滝壺着
帰り→15時滝壺発→16時45分下降地点→
17時10分下降地点出発→22時18分駐車場着
~岩屋谷滝を訪ねた時のことを当日のメモより抜粋~
岩屋谷滝から何とか無事に帰ってきました。
所要時間は往復約18時間。うち、4時間余りは真っ暗闇の中、ベッドライトを付けて歩きました。
この滝へは一度800mを登った後で、尾根を進み、最後に200m下降して滝に行きます。
日帰りは無理なので滝壺で一泊しようと思い、寝袋や4リットルの水分などを持っていたのですが、そんな荷物を全部持って最後の下降をするのはどう考えても無理で、そんなことをするのはわざわざ死にに行くようなものだと思い、必要最小限の荷物だけを持って下降を開始しました。
それでも崖としか思えない急斜面を降りるのは想像を絶するほどの厳しさと恐怖で、一つ判断を誤れば滑落するのは必至な極限状態の中で、生きた心地がしませんでした。
仮に無事に降りられたにしても登り返すことができなければ遭難です。途中で滑落しても即死しなければ、やはり遭難です。
死ぬ恐怖よりも滑落しても即死しなかった場合のことを考えると本当にそうなった場合は一体どうなってしまうのだろうと尋常じゃない恐怖を感じました。
少しでも無理だと思ったら、勇気を持って退散しようと思って下降を開始しましたが、半分くらい下降した時点でこれは登り返すのも無理なんじゃないか、やってしまったんじゃないかと薄々と感じるようになりました。
その内に斜面が大崩落して地形が変わって(目印のテープも寸断されていた)いて、どう考えてもこれ以上進めるとは思えない場所に遭遇しました。
が、もう登り返すのも無理かも知れないという状況の中、どうせなら、せめて夢にまで見ていた目的の滝の姿を一目だけでも見ようと思い、意を決して進みました。
何とか目的の滝に到着。日本最高の滝の一つとされる落差130m(42階のビルくらいの大きさ)の滝を堪能したあとで、登り返しをしました。
両手両足・全身・全神経を使って約2時間を掛けて200mの斜面を何とか無事に登り返すことが出来ました。
のどはカラカラ、全身からは冷や汗が出て、意識も何度か飛びそうになり、また、恐怖で気が狂いそうになり、いっそここから落ちてしまえばこの恐怖から解放されるのか?とも考えたりもしました。
実は岩屋谷滝は雄滝と雌滝があるのですが、雄滝よりもさらに急傾斜の降下が厳しいとされる雌滝にチャレンジするのは諦めざるを得ませんでした…。
自分の未熟さに絶望・失望して滝巡りは今日を持ってやめようかとも考えました。
何はともあれ限界ギリギリのところで、何とか無事に帰って来ることが出来ました。
所在地→奈良県上北山村白川
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