なぜ仏塔(五重塔・三重塔)は地震に強いのか?
塔が地震に強いのは紛れもない事実である。
地震大国の日本にはこれまでに数多くの木造塔が建立されてきたが、落雷、兵火などによる焼失の記録は多いが、地震による倒壊の 記録はあまりない。
平成23(2011)年の東日本大震災や平成7(1995)年の阪神淡路大震災、大正12(1923)年の関東大震災でも塔の倒壊はひとつもなかった。
塔が地震に強い理由はその構造にある。塔には下から上まで塔全体の構造を貫く「通し柱」がない。塔内部に立つ心柱は相輪を支持しているだけで塔の各層と連結せず独立して立っているので、建物を支える構造とは無関係である。
また、釘を一本も使っていないため、ある程度融通性があり、地震により底部が揺れる時には上部は揺れないで、底部が戻る時には上部が揺れるといった具合で蛇行型に揺れ、重心が外に出ないため倒れないようである。
極端にいえば、五重塔(三重塔)は五つ(三つ)の箱が積み木のように重なっているような構造であり、各層ごとに軸部・組物・軒を組み上げる構造になっており、これらの各部材の接合も緊結されていないなど、各層が自由のきく結合をしているため、揺れを吸収するのである。
また、各層の柱も太さのわりに短く、倒れようとする力よりも元に戻ろうとする復元力が大きく、さらに水平方向の変形を起こすことがない造りになっている。
つまり、初層が右に揺れると二層は左に揺れるというように各層が互い違いに振動し、塔がくねくねと揺れて、建物全体で力を吸収する「免震構造」になっているのである。いわゆる塔身全体が柔構造になっており、これらの点が地震に強い要因といわれている。
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