日本に三体しかない!実際に千本の手を持つ『真数千手観音』




日本に三体しかない!実際に千本の手を持つ『真数千手観音』

千手観音はお寺の御本尊として、よくその名を耳にする観音様である。

千手観音の千本の手は、あら方法(千は無数の意味)で、どのような衆生をも漏らさず救済しようとする、観音の慈悲と力の広大さを表しているとされる。

このように本来は千本の手を備えているとされるが、実際には省略(手抜き)をした形になっていることが一般的で千本の手がないことが通例である。

通常の千手観音は、正面の合掌している2本の手と左右20本ずつの手の合計42本で、この左右の40本の手が、それぞれ25の世界を救うとされ「25×40=1000」であると説明(言い訳)される。

しかしながら、その名の通り、千本の手を備える「真数千手観音」と呼ばれるものが、日本には三体あると言われている。

「それは」

大阪の藤井寺市にある葛井寺の十一面千手千眼観世音菩薩(国宝)

京都の京田辺市にある寿宝寺の十一面千手千眼観世音菩薩(重要文化財)

奈良市にある唐招提寺の千手観音菩薩立像(国宝)

の三体である。

もしも、この三体の拝観をするなら・・・

「一日で全部を観て、じっくりと見比べたい!」

人の記憶は時間の経過と共に色あせて薄れていくものなので、可能ならば1日にこの三体すべての拝観をして、じっくりと見比べたいものである。

尚、それぞれのお寺は直線距離にしてわずかに15キロ〜40キロ程度の距離なので、1日で訪ねることは十分に可能である。(実際に私も一日でこの三体の千手観音の拝観をすることができた。)

「拝観をする順番について」

拝観する順番については絶対にこの順番がいい!というお勧めルートがある。それは葛井寺→寿宝寺→唐招提寺の順番である。以下にその理由を述べる。

まず最初に訪ねるべきなのは葛井寺の千手観音である。なぜならば葛井寺の千手観音は拝観する時に3~4mのほど離れた所からの拝観となり、さらに厨子の中に入っていて非常に見えにくいので、近く(間近)で観れる他の二つの千手観音を観たあとに葛井寺の千手観音を訪ねると、ガッカリしてしまうであろうことが容易に想像がつくので、一番最初に訪ねるべきである。

また、唐招提寺の千手観音は他の二つの千手観音に比べて圧倒的に大きくて迫力がある。このため、唐招提寺の千手観音を観たあとで、他の千手観音を訪ねると、どうしても小さいと感じてしまうことになるので、唐招提寺の千手観音は一番最後に訪ねるべきである。

尚、こうなると必然的に二番目に訪ねるべきは寿宝寺ということになり、葛井寺→寿宝寺→唐招提寺の順番で訪ねるルートが最もお勧めで望ましいルートということになる。

逆に言えば「唐招提寺→寿宝寺→葛井寺」と訪ねるルートは絶対に避けた方がよいと思われる。

私は何の予備知識もなかったのだが、偶然にもこの「葛井寺→寿宝寺→唐招提寺」の順番で訪ねることができた。今にして思えばとてつもなくラッキーだったとつくづく思う。

それでは最後にそれぞれの千手観音のことをもう少し詳しくまとめて紹介することとしたい。

ちなみに三体ともに撮影は禁止なので、このサイトの写真は現地で購入したポストカードや冊子から引用したものである。

葛井寺の十一面千手千眼観世音菩薩

製作年→神亀2(725)年
手の数→1041本
像高→144.2cm
安置場所→本堂の厨子の中
拝観→毎月18日に御開帳
文化財指定→国宝
所在地→大阪府藤井寺市藤井寺1−16−21

寿宝寺の十一面千手千眼観世音菩薩(重要文化財)

製作年→平安時代後期
手の数→千本あるらしいが、正確な本数は不明。(色々と調べたがわからなかった。)
像高→181cm
安置場所→収蔵庫
拝観→事前に予約をする必要あり
文化財指定→重要文化財
所在地→京都府京田辺市三山木塔ノ島20

唐招提寺の千手観音菩薩立像(国宝)

製作年→奈良時代
手の数→953本(元々は1000本あったと考えられているとのこと)
像高→535cm
安置場所→金堂
拝観→いつでも拝観可能
文化財指定→国宝
所在地→奈良県奈良市五条町13−46

 

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