知られざるもう一つの山寺!「裏山寺」と呼ばれる『垂水遺跡(垂水岩霊境)』
松尾芭蕉が「閑さや岩にしみ入る蝉の声」と詠んだあの全国的にも有名な「山寺立石寺」の奥に、地元の方にすらほとんど知られていない「裏山寺」と呼ばれている「峯の浦」がある。
その最奥にあるのがこれから紹介する垂水遺跡(垂水霊域・垂水岩霊境・垂水霊境)である。
この垂水遺跡には、大正時代頃まで山伏の居住修行の姿があったとされ、慈覚大師円仁が山寺立石寺を開山する前に修行した宿跡ともされている。
「円仁宿跡」
一説によると峯の浦で築かれたものが現在の山寺へ移設されたという説もあり、山寺の歴史を語る上で「重要な場所」とされている。
実際に垂水遺跡に一歩足を踏み入れると、まるで異空間に迷い込んだかのような異様・異質なえもいわれぬ景観が目の前に広がっている。
そのむき出しになっている岩壁には見渡す限りに蜂の巣状の穴が開いている。
さらに大きな岩壁には洞状の大きな穴が開いていて、その大きな穴の中には木製の鳥居がポツンと建っていて、身が引き締まるような緊張感に満ちた空間となっている。
そしてさらに岩穴を登って行くと稲荷神社が祀られている。
その途中には岩壁に大きな穴が開いている何やら意味ありげなところもある。
尚、垂水遺跡といえば、この鳥居を含めた岩壁に無数の穴が開いている景観が有名だが、私がそれ以上に神聖な空気を感じたのは、そこからさらに先に進んだ、円仁宿跡の手前にある『巨大な岩の割れ』である。
その巨大な岩の割れ目からは水が滴り、中ほどの暗がりには不動明王が拝されている。
写真では不動明王は見えないが、肉眼ではその姿をはっきりと認識することができた。
理屈抜きでそれまでとはまるで空気が一変したかのような神々しさを感じてしまった。
また、不動明王が拝されている『巨大な岩の割れ』の左手の岩肌には、千手観音様が線刻されていたと伝えられる。
今にも朽ち果てそうな現地の『垂水観音祠』という看板。この岩壁のくぼみに千手観音が線刻されていたのだろうか。
また垂水遺跡から城岩七岩へと向かう道の途中にも岩壁一面に蜂の巣状の穴が開いている場所があり、洞には古峯神社が祀られている。
古峯神社。
所在地→山形県山形市山寺
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