全国的にも珍しい「船渠遺構」である『対馬藩お船江跡』
お船江跡は宗氏の御用船が使用した船着き場の跡である。
現在の遺構は寛文3(1663)年に造成されたものであるという。
この船渠遺構の築堤の石積みは当時の原型を保っていて4つの突堤と5つの船渠がほぼ完璧な状態で残されている。(現在は5つの内1つの船渠は埋め立てられている。)
また、正門、倉庫、藩主休息所などの建物等の遺構も残されていて往時の壮大な規模を肌で感じることができる。
このお船江は久田浦に注ぐ久田川の河口に人口の入江として構築されていて、満潮時には木造の大船が出入できる程の広さと深さがあり、干潮時には干上がるようになっている。
対馬藩は多くの公用船を所有し、大阪・博多・長崎・釜山等各方面を航海したため、この船江に入渠して船体の手入れをしていて、陸上には造船場があり、船大工や水夫たちの納屋があったという。
かつては海に面した各藩の城下にはこのような施設があったはずであるが、遺存例が乏しく、これほど見事に原型を留めている例は他にはなく、日本近世史上貴重な遺構であるという。
所在地→長崎県対馬市厳原町久田
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