「ロウソクの灯」を頼りに進む!地底の巨大伽藍『田谷の洞窟(田谷山瑜伽洞)』
知られざる「横浜屈指の秘境!」『田谷の洞窟(定泉寺田谷山瑜伽洞)』
「田谷の洞窟」は横浜市の栄区にある元鶴ヶ丘二十五坊の修禅道場で、現在は定泉寺の境内にある。
詳しくは「田谷山瑜伽洞」と称する。
この田谷の洞窟は、わが国では他にはほとんど例をみない人工の地底伽藍であるが、一般的には「ほとんど」といっていいほどに知名度がない。
「地底に密かに眠る驚異的な一大伽藍」である『田谷の洞窟』
「田谷の洞窟」は鎌倉時代の初期に開創したと伝えられる。
田谷山瑜伽洞立体図
参考文献:田谷の洞窟
以後、真言密教の修行窟として江戸時代に至るまで適時拡張されて上下三段、実測可能なところで約540m、実際の総延長は1000mにも及ぶ大洞窟で、洞窟内には300体もの仏像や梵字、仏画が刻まれた驚異的な地底密教空間である。
洞窟内略図
参考文献:田谷の洞窟の由来書
さらに、洞内には「秩父三十四観音霊場」「西国三十三観音霊場」「坂東三十三観音霊場」に加えて「四国八十八霊場」の札所があり、『全国札所の総拝霊場』となっている。
ロウソクの灯りを頼りに巡拝する『田谷の洞窟』
「田谷の洞窟」の中は必要最低限の灯りしかなく、とても薄暗い。
このため洞窟内を巡拝する際には洞門手前に置いてある木製の手燭台(ローソク立て)にローソクを立てて、その灯りを頼りに巡拝する。
田谷の洞窟の動画
洞内は撮影禁止となっているが、定泉寺のサイトで動画が公開されているので、紹介をさせていただく。
洞内は一年を通じて温度は16度~17度くらいである。このため、夏は涼しく、冬は暖かい。
また、洞内の行者道は「人が一人、ようやく通れるくらいの狭い道」となっていて、天井が低く、頭を屈めないと通れない箇所も多数ある。
洞内は複雑に入り組んでいて、薄暗い洞内をロウソクの灯を頼りに進むのは「さながら迷宮探検」をしているようでもあり、冒険心をくすぐられるものがある。
定泉寺と田谷の洞窟の歴史
定泉寺の開創は天文元(1532)年とされる。田谷の洞窟の開創は鎌倉時代の初期と伝えられているため、寺が建つ前から洞窟が存在していたことになる。
このため、田谷の洞窟は太古、古代人の横穴式住居跡だったとも、古墳の跡だったともいわれている。
伝承によれば、鎌倉時代の初期に現在の定泉寺の寺域には鎌倉幕府の侍所別当である和田義盛の三男・朝比奈三郎の館があったとされ、信仰心に厚い三郎は裏山の清水の湧き出る洞窟の奥に弁財天を勧請して日夜礼拝をしていたという。これが田谷の洞窟の始まりであるとのことである。
所在地→神奈川県横浜市栄区田谷町1501
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