地震により出現した断層を目にすることができる『根尾谷断層』
根尾谷断層は、明治24(1891)年10月28日の早朝に岐阜県地方を襲った未曾有の大地震(濃尾地震)によって生じた断層である。
この地震はマグニチュード8.0と推定され、内陸直下型地震としては歴史上最大の規模であり、有感の範囲は北は仙台から南は鹿児島までに及び、多くの地域で家屋の倒壊、火災が起こり多数の死傷者を出した。
この地震の震源となったのが、福井県池田町野尻から岐阜県可児市帷子地区まで総延長80kmにも及ぶ根尾谷断層で世界でも最大級の地震断層である。
特に、この断層の中心部にあたるこの地(本巣市根尾水鳥地区)においては、上下最大6m、水平横ずれ3m長さ1kmに及ぶ断層崖が出現した。
地震に伴って生じた断層として初めて確認されたこの水鳥の断層崖は「水鳥の断層崖」とも呼ばれ、その地震直後に撮影された写真が、内外の地震学の教科書などに引用されて日本はもとより世界的にも有名となり、現在までに外国の研究者の来訪も多数にのほっているという。
こうした理由により、この断層は昭和2(1927)年「根尾谷断層」として国の天然記念物に指定され、さらに昭和27(1952)年には特別天然記念物に指定され、今日に至っている。
濃尾地震から120年以上経過した現在でも断層の様子を鮮明に見ることができる。
尚、文化財の保存と活用を目的に、濃尾地震100周年記念事業の1つとして、平成3(1991)年から平成5(1993)年にかけて「地震断層観察館」「地下観察館」「地震資料館」がつくられた。
地下観察館では、地表下8mまでの地層断面を約45度勾配の掘削面に露出させ、6mもの地層のずれを常時観察できるようになっていて、この断層の規模や濃尾地震の大きさにあらためて驚異を感じるとともに、隣接する地震資料館を利用して、地震のメカニズムを科学的に学習することもできるようになっているとのことである。
被災当時の断層(現地の看板より)
現在の断層(現地の看板より)
所在地→岐阜県本巣市根尾水鳥
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