実は有名な桜島の埋没鳥居の他にも「もう一つ」ある『牛根麓稲荷神社の埋没鳥居』
牛根麓稲荷神社の埋没鳥居は大正3(1914)年に桜島が大噴火し完全な島だった桜島が大隅半島と陸続きになった際の降灰により埋没してしまった鳥居である。
牛根神社帳によると稲荷神社は「祭日九月十三日と十一月二十八日神供三膳、神楽内侍舞神社四敷二間、上家茅葺、鳥居石高一丈一尺五寸(約3.7m)、向拝より八間」とあるが、現在は約1.45mまで掘り出されたこの鳥居が現存するのみである。
この大正3(1914)年の噴火による牛根麓の被害は甚大で、道路田畑には約90cmから120cmの降石灰が堆積し、松ヶ崎小学校校舎、村役場、民家32戸が降石灰により倒壊した他、多くの避難民を出したという。
3.7mの高さがあった鳥居が完全に埋没するなんてにわかには信じられないが、それだけにこの時の噴火がいかに大規模なものであったのかを伺い知ることができる。
この鳥居は個人所有の敷地内にあり、一般に知られることはなかったが、歴史的にも貴重な史跡であり、そこからの眺望が秀逸であることなどから、垂水市では平成23年度の事業によって遊歩道や展望広場、駐車場などの周辺整備が行われ、平成24年2月には垂水市指定天然記念物として指定されるなど、大正大噴火から実に98年ぶりに一般公開されることになったという。
尚、鳥居は噴火の影響で左右がずれてしまっているが、ずれ落ちて崩壊することなく、桜島の噴火による甚大な被害を現在に伝えるべく、しっかりと建っているその様子が、非常に印象的な姿となっている。
所在地→鹿児島県垂水市牛根麓675-1
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