田園風景の中にポツンと立っている哀愁が漂う『深田の鳥居』
深田の鳥居は「有名な臼杵石仏(臼杵摩崖仏)」へと向かう道すがらの田園風景の中にポツンと立っている何とも不思議な鳥居である。
この鳥居は凝灰岩で作られていて、土中から出ている部分では、高さが3、2mあり、二本の柱をつなぐ島木は4、5mあるという。
柱脚が太く、二本の石材を重ね継いでいるのが特徴で、現在では柱脚が深く地中に埋没している。
柱脚が埋没している理由は、近くの臼杵川の氾濫などでこの付近一帯が度々大きな水害に見舞われていることから、次第に埋まっていったものだと考えられているという。
昭和52(1977)年12月には笠木が破損して欠落するなど傷みがひどいため、市教育委員会によって修復工事が行われた。
これに伴い、埋没している柱脚部分の発掘も行われ、建立された年代や臼杵石仏群との関係なども調査された。
しかしながら、この鳥居が江戸時代に一度修復されていることは確認されたものの、建立の謎を解く資料らしい資料は見つからず、関係者をがっかりさせたとのことである。
但し、鳥居修復の際に解体したところ、笠木の支え石(額束)の表面に、微かに「王」の文字が刻まれている事が確認されたことから、臼杵石仏の背後の山上に祀られている日吉神社の参道に関係する鳥居ではないかと推測されているという。
また、鳥居の形態や石組みの技術、垂直に建っていることなどからみて制作年代はかなり古く、鎌倉から室町時代にかけての作であろうと考えられているとのことである。
いずれにしても、現在ではのどかな田園風景の中に、まるでこの鳥居だけがポツンと取り残されたように建っていて、その姿は何ともいえない哀愁が漂う摩訶不思議な景観である。
所在地→大分県臼杵市深田下津留2-740
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